共感的に話を聴くとは? 〜NLP共感リスニングを終えて

 本日は、NLPフィールドのホームページにお越しくださり、ありがとうございます。

 今回は、今年の1月から5月まで全6回開催した「NLP共感リスニング」のまとめについてシェアします。

「人の話を聴く」ときに、あなたのところに意識を置いていますか(注意を向けていますか)?

「Report(レポート)・トーク」「Rapport(ラポール)・トーク」という言葉を聞いたことはありませんか?

「Report(レポート)・トーク」とは、事実の因果関係や状況説明や経緯などのストーリーを話すことです。特に仕事での会話や緊急性が高かったり、何かを達成したり、解決したりするときに行われます。

「結論はこうです。理由はこういうことで、事実としてこんなことがあります。将来にこんな影響があります。」とか「この前こんなことがあって、こんなことが起こって、とても困ったの?」と相手に状況を分かりやすく説明しながら話すことはこちらの部類になります。

「Rapport(ラポール)・トーク」とは、話の内容よりも「今、ここ」でどんな関係を持ちたいのか、または、どんな感情に寄り添ってもらいたいのか、話の内容よりも、話しているその人の存在を認めるような話し方です。

 「Report(レポート)・トーク」として「聴く」ときには、お互いの意見や見方の相違がよく話されたり、相手に入っていることを「正確に理解する」ことに焦点が向かいます。そちらに過度に意識を向けてしまうと、話している人は「背景」(焦点の外側)に押しやられてしまうことがあります。[音楽を聴いても、スピーカーには意識を向けない感じです。]

 「Rapport(ラポール)・トーク」として聴くときには、自分の理解や解釈を一旦傍に置いて、お互いの信頼や繋がりを確かめること、話している人の立場になって共感することや、話の内容以上にその人の気持ちや(言葉にならない)想いを確かめることに意識が向けられます。その際には、元々の話の内容が「背景」に押しやられていきます。

 具体的には、「この前の会議でうまく進行ができませんでした。」というテーマで話をするとき、「Report(レポート)・トーク」として聴くときには、何が問題だったのか(準備不足、進行中の段取りなど)に意識が向けられたり、会議に参加した私の視点から改善事項は何か?に意識が向いたり、次回の解決策などをこの人はどんなふうに考えているのか、に意識が向きます。

 「Rapport(ラポール)・トーク」として聴く場合は、その人が話した出来事について、「今、どう感じているのか?」とか、相手の話のプロセスをよく観察し、その人に息づいているエネルギーや感情を伝え返したり、「結果」ではなく、「どんな意図や動機を持っていたか?」その人が自分のことを内省できるように支援します。

 今回の講座では、ある程度の信頼関係はできている前提で、聴き手が丁寧に相手の「Report(レポート)・トーク」を理解しながら、次第に、「Rapport(ラポール)・トーク」に移り共感するような聴き方をトレーニングしていきました。

 では、この移行を学ぶことにはどんなメリットがあるのでしょうか?

参加者の声から

 まずは体験者の方の声をご紹介します。こちらは、私が覚えているものです。そのため、多少内容が異なることがあるのは、お含みおき下さい

話を聴いてもらうことで本当に癒されました。月に1回、参加することで「明日からまたがんばろう!」という勇気や元気をもらえました。

仕事の面談でついついアドバイスをしていた場面で、今回の聴き方を実践してみました。相手の置かれている状況やなぜそんな言い方をするのかを相手の立場から聴くことができました。いつもなら、こちらの言ったことをわかってもらえないというわだかまりがあったり、正直、イライラすることも多かったのですが、今回は、そういうことがなかったのがとても新鮮な体験でした。

これまで仕事以外で人と話すのは、あまり気が進みませんでしたが、それは話に焦点を合わせていたからでした。人に対して興味を持ったときには、以前感じたような気持ちが減ってきました。

いろんな場面(特に仕事などで挑戦的な場面)で、今回、参加した人たちの想いから自分に響いたことを思いだすと乗り切ることができました。この時間だけではない、いつも困ったときにそばにいる感じが不思議でした。

 日常で実践してもらえることを意図してプログラムを組みましたが、スキルを超えたところでさまざま得られたものがあったことを知って、開催して良かったとホッとしました。

聴くのは何のため?

1)人は制約状況の中でも、わかってほしい、理解してほしい、意図を汲んでほしいということを求めています。

 喜びでも、困ったことでも何か人に話を聞いてもらいたいとき、相手のわかってもらおうとして、言葉をなんとか紡ぎだそうとします。
 
 そのときに、どうしても「わかってもらえるような」言葉を選んでしまうことで、徐々にイキイキとした気持ちから離れてしまうことがあります。

 とりわけ、仕事では要点や結論からとか、理路整然と話をすることを求められるため、頭がフル回転して話の組み立てや内容に集中してしまい、いつしか心や本音とは全く違うことが口から出てしまうことがあります。

 また、家庭や職場などにおいて「社会的役割」(例えば、リーダーや親など)を背負っていたり、文化的な影響(例、相手に迷惑をかけてはいけない、弱みを見せてはいけない、よい評価をもらいたい等)があると、「ねばならない」という拘束的な思考が働いたり、警戒心や防衛本能が先立ち、本音を口に出せないこともあります。

 (今回のワークショップではなく)これまでもコーチングを通してクライアント様が「わかってもらいたいけど、わかってもらえない」という痛みを持っており、多くの人と一緒にいても、大切にしたい人と一緒にいても心は孤独な状態になっており、これ以上傷つかないようにしている姿を垣間見ることがあります。

 とくに、リーダーや経営者の方は、責任を背負うことで思考と心のループを社会に適応するようにしてしまい、誰も本当の想いや気持ちを聴いてくれる人がおらず、ストレスが過剰になっています。

 こういうことを体験するたびに、丁寧に相手に寄り添って聴ける人が増えてきたら、どれだけ社会が変化するだろうという想いが強くなります。

 もし「聴く」ということを通して、あなたの言いたいことを整理してくれたり、質問を通して深めてくれたり、いくつか表現できない感覚に対して、あなたにピッタリとくるような言葉を支援してもらえたら、話し手にどんなことが起こると思いますか?


 本心を表すときは、あなたはきっととても無防備で傷つきやすい状態になっていくでしょう。そのことをわかって、あなたの言葉を批判したり、ジャッジしたり、解決策を押し付けたりせずに、あなたのペースで振る舞えるように見守ってくれるように関わってもらえたらどうでしょうか?

 ここでいう「見守る」とは、あなたが言葉になることを待ち、あなたの表現や行為は何か理由があるに違いないことを信じてくれる関係性や心理的安全性を維持してくれることです。

2)人は外側の安全性を築いてもらえると、安心して自分の内面と向き合えます。深くから目覚めようとしている産声に耳を傾け、その声明(生命)を育てていく

 話し手は、相手がこちらのことを理解してもらっているとわかると、自分を証明したり、正当化する必要がなくなります。
 
 すると、自然と内面に意識が向き、自己認識(セルフ・アウェアネス)が繊細になります。

 もし、「頭」だけのエネルギーでストーリー(特に問題や苦痛を回避すること)にはまり込んでいたなら、聴き手が鏡のように話を繰り返すと、あなたの脳の違う部分が活性化されて、客観的になれたり、別の見方をすることができるようになります。

 そうすると、「これは真実だ、変えられない」「これ(過去)が原因だから、(いつも通り未来は)こんな結果になるに違いない」というような歪んだ認知や思考プロセスに気づくことがあります。

 時折、聴き手が無視された気持ちや身体感覚に気づいて伝え返すとどうなるでしょうか?

 気持ちや身体感覚は、言語や思考を超えた領域です。正しいや間違いを超えていきます。そこには、思考のときに抜け落ちた豊かな情報が詰まっている場所です。
 特に、身体に意識を向けることは、過去や未来を超えて、「今、この場所」に意識を戻してくれます。

 この「今、この場所」こそが変化の起点となる場所です。



 さらに、頭と心と身体の感覚がつながったエネルギーの循環によって、いつもの自己認識の枠組み(小さな自分)が拡大し、本来の人間性を取り戻すようになっていきます。

 やわらかい壁にボールを投げると、そのエネルギーが吸収されて、やさしく返ってくるように、話し手と聴き手の関係は、相互に「受容」し、「敬意」が払われ、「ケア」や「(存在)承認」の感覚を丁寧に体験するようになります。
 

 話し手が今まで「見向きもされなかったところ」のエネルギーに触れると、その部分が緩み、呼吸が深まり、訳もわからず涙が溢れてくる方もいます。

スティーブン・ギリガン博士が、これを美しく伝えてくれています。

「生命は、われわれにさまざまな経験や関係を提供し、それを通過する間にわれわれが成長することをを願っている。われわれに課された課題は、生命が与えようとしているものに歓迎する意向を伝え、それに耳を貸し、それを受け入れ、理解し、そして表現できるための方法を発達させることだ。」

素のままの荒々しい生命エネルギー(自然)と、社会化され、洗練した自己への気づき(精神)とが調和する瞬間、瞬間ごとに自己は創造されている。人間存在(筆者注:現存在)が存在し始めるためには、自分の経験に言葉が与えられることが必要なのである。[このパラグラフは筆者が抜粋、編集]

「愛とは、生命を操作するのではなく護り、他者に与え、そして、受け取り、共に居て、そして居てもらい、調和すると共に別の人間として分化し、触れ、そして、開放する、人間関係上の能力に関わる力であり、技術であるとの理解に立つ。」

〜 「愛という勇気」 スティーブン・ギリガン著 

目に見えないヒーリング・リーダーの存在


 家族や組織もシステムです。システムは動いているため、歪みが生じます。歪みは、そこにエネルギーを集中させたり(注意を集めたり、緊張させたり)、分断を作ることがあります。

「聴く」ということは、その歪みが生じたポイントで非常に効果を発揮します。聴くことを通して、お互いの理解の違いがわかり共通認識を構築できたり、歪みによって生じた感情や痛みに気づき、支援やケアができたりすることで関係性が強化されたり、新たな創造や学習が生じて、成長が促されたりします。

 逆に、聴くことを疎かにしたり、適当にしてしまうと、その歪みがさらに増幅され混乱してしまったり、取り返しのつかない分断を生み出したりすることもあります。

 

 家族や組織に「聴く」ことや「共感」することができる人がいると、心理的安全性、信頼、つながりや関係性の質が高まります。


 特に、組織においては支援は業務のノウハウや助言だけではなく、その人が仕事で今どんな状況にいるのか、どんな仕事観を持っているのか、仕事で困っていることや大切にしていることは何か、などの心理的な支援や内省的な支援があると、よりエンゲージメントは高まりますし、普段の相手への配慮など精神的な支援を行う職場の方が業務成績が向上するという研究(TED:同僚に敬意を持って接すると業績が上がるのはなぜか)もあります。

 上司が定期的な面談などで1on1コーチングを行うことで、この流れを取り入れているところもありますが、やはり普段からのコミュニケーションで地道に関係性を育てていくことが、とても大切なことになります。

関係性の質が高まると、思考の質が高まります。思考の質が高まると行動の質が高まります。行動の質が高まると、結果の質が高まります。結果の質が高まると、関係性の質が高まります。
「成功の循環」 ダニエル・キム氏(MIT組織学習センター共同創始者)
 参考:ヒューマンバリューHPより

 ときに、こうしたことを自然に行える人がいることがあります。

 しかし、残念なことに家族や組織に多大な貢献をしているにも関わらず、なかなかスポットライトが当たりません。特に、メンタル面を向上させることが能力やパフォーマンス、エンゲージメントを向上させることがわかっているにも関わらずです。
 そのため、こうした人が評価されずに職場から去ってしまうと、チームがギスギスしたり、生産性が落ちたりすることさえあります。

 これをわかりやすく表現したのが、こちらの書籍です。

組織では、人と人の衝突したり、揉めたりすることは避けられないが、ヒーリング・リーダーは組織をポジティブな状態に保つ。他人の秘密を守り、人間関係のこじれを解きほぐし、痛みを和らげるために見えないところで働き、難しいメッセージを建設的な言葉に翻訳して人々に伝える。そんな働きを通じて、ヒーリング・リーダーは、職場で日々生じるネガティブな感情を吸収し、誰もが建設的な仕事に集中できるように取り組むのだ。

〜ハーバード・ビジネスレビュー「マインドフル・リスニング」より

 本講座では、まさにこのヒーリング・リーダーとしての力を高めることを目指していましたので、参加者の声にその一部が含まれていたことはとても嬉しいことでした。

 ただし、ヒーリング・リーダーという役割を、こうした技術なく家族や職場などのシステムで引き受けてしまった人は、「共感疲れ」などを起こすこともあります。こちらの書籍にいくつか対処法がありましたので、ご自身が該当しそうでしたら、ぜひとも心や身体のケアを優先してください。

  • 身体の不調、燃え尽き症候群、過度な緊張などを感じたら、休息してください。
  • 全てに聴く力を使う必要はありません。とくに、ご自身のネガティブな感情が高い場合は。
  • 「No」を伝える。誰かに進んで助けを求める。
  • 支援できなかったからといって罪悪感をもたないこと。それは、あなたの問題ではないから。彼らの問題として境界を引き、支援する立ち位置(距離感等)を確かめてください。
  • あなた自身をサポートしてくれたり、相談できる関係性やコミュニティをつくる。(→NLPフィールドをご活用ください。)
  • 理不尽なことをされたり、敬意のない関係性の仕事は辞める、離婚するなどの環境を変えることも考えてください。

自分を癒し、人を癒し、世界を癒していく

 「癒す」とは、愛する勇気の技術の一つでもあります。

 凝り固まったところをほぐし、切り離された部分をもう一度繋ぎ直すことによって、より大きな自己や世界を取り戻す、大切なプロセスの一つです。

 人によっては、「アクセプタンス」と言われる「受容」や「コンパッション」と言われる「慈しむ」という表現がしっくりとくる場合もあります。

 自然は空も大地も樹木も事象は独立に見えても、お互い支え合い、つながり合っています。このような生命の流れの中で、わたしたち人間も生きています。

 自分の中に生まれてくるもの、他者との関係の中で生まれてくるものなど、わたしたちの世界にはいくつもの豊かさや美しさが溢れています。

 一人ひとりが、それを自分や他者の中に見つけ、育んでいけること、これがスポンサーシップと言われるものです。これからの時代にとても重要な概念であり、大切な技術になっていきます。

 この講座はその壮大なスキルの一部でした。視聴を含めてご参加してくださった方との時間はとても尊く、そして、そこで生まれたもの、癒やされたものが全てがギフトでした。ありがとうございました。


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この記事を書いた人

nlpfield

株式会社NLPフィールドです。
人生におけるNext Stageにむけて、NLPを中心としたコーチング・アプローチで支援をしています。ご自身の人生を心豊かに生きることを基点として、周囲の人々に共感し、社会に貢献できるよう研修やコーチングを提供しています。
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