愛媛県消防学校でコミュニケーション講座を開催しました。

 あなたが何か事故にあって、ケガをしたとします。
 救助者から、どちらの言葉をかけてもらいたいですか?

A)忙しそうにしながら「もうすぐ救急車来るから、我慢して」

B)「どこが痛みますか。こちらは大丈夫ですか。(痛みのないところをいくつか触って確認してもらう)もうあと5分ほどで救急車が到着します。近くにいますので安心してください。」

 もちろん言葉のトーンなどの影響もありますが、内容だけですと、B)の方が効果があります。

 なぜなら、B)は痛みの焦点から、徐々に、大丈夫なところに意識を広げることで、痛みの点に向いた意識を和らげることができます。また、希望を具体的に持ってもらうことや支援してもらえるというニーズを満たすことができます。

 このように相手が一番無防備なときに、言葉から心に寄り添えるケアを行うことができます。

本当に必要なときに、居て欲しい人たちは何をしているのか?

 松山市からタクシーで30分ほどの非常にのどかな場所に、愛媛県消防学校があります。

 ホテルからタクシーで移動することになったのですが、なんというご縁でしょう。タクシーの運転手さんがなんと、元消防士さん。

 道中、消防というお仕事のやりがいや大変さなどを伺うことができました。

 いざというときにお世話になる消防士の方々もなかなか日常では触れる機会がありませんよね。
 みなさんは、消防というお仕事について、どれぐらいご存知ですか?

 私も今回ご縁を頂いて、いろいろと調べてみて発見がありました。
 言うまでもなく命に関わるお仕事であることを改めて認識しました。

 その活動は多岐に渡り、消火活動を始め、救急、救助、そして、その予防などです。
  (参考HP:広島県備北地区消防組合

 仕事で成長していくにあたり、消火、救急、救助における知識や法律を身につけ、やる気のある方は専門職へとさらに知性と技術を高めていくようです。

 中でも消火活動は、私が想像していた以上に大変です。

 熱波を防ぐための防火服は20キロ。
 放水するときのホースの重量、70キロ。

 とにかく、体力と暑さへの耐性が求められます。

 

 講義の後に訓練風景を拝見しました。

 統一された動きを続け、暑さに慣れるために校庭を何度も走っています。

 今日だけではなく、いざというときのために、ほぼ毎日、心身を鍛えているそうです。
本当に頭の下がる想いでした。

 また、緊急事態でチームとして活動するために、お互いの信頼関係の構築がとても重要になります。
そのため、ルーキーは入所したら消防学校で寮生活を送ります。

 この期間、規律を守る力を高め、お互い協力しあい励まし合いながら一人前の消防士になるために日夜、訓練に励んでいきます。

 参考映像 : 消防学校の訓練風景(愛媛県消防学校)
 [クリックするとYou tubeからご覧になれます。]
 (こうした光景が発信されることで、親御さんも安心ですし、社会に対して、消防活動をしってもらうよい機会になっているようです。)


 これだけ大変なお仕事。
 どうして、消防士になったかと数人に尋ねてみると、

 「地元の人たちや財産を災害から守りたい」

 「過去に、(親族等含めて)消防士に助けられた」など、

「地元への愛」や「感謝から貢献へ」転換した想いを、とても強く頂いているのが印象的でした。

お互いの理解をより深めていくことで信頼できる

 今回、導入に声をかけてくれたのが、当社の受講生の教官でした。

 新任教育は6ヶ月間あり、約800時間を行うことになります。その大切な時間から3時間を頂けました。

 こちらの消防学校では、できる限り、「この訓練が、現場や消防士になぜ必要なのか?」という目的や理由を伝えて、できるだけ、職員の方が納得感が得られるような工夫をされています。

 とくに冒頭の心理的、精神的に一番大変な状況の中で、消防や救助の人がかける言葉が、とても大切なことを痛感されていました。

 また、厳しい訓練の中、お互いをもっと理解し合い、消防学校を卒業したあとに、

 「人の命とともに自分の命も守り、家族の元に元気に戻ってもらいたい」

 「学校を卒業して現場に入ったときに、隊長に一番に呼ばれるような隊員に成長してほしい」

という切なる願い(ビジョン)をお持ちです。

 私も彼の真摯な想いを聴いて、何か協力したいという意欲が高まりました。


 NLPフィールドが提供できるものとして、いくつか候補を協議した上で

 1)心理的安全性を形成するためのコミュニケーションの理解
  (お互いの違いを尊重しながら、協力する)

 2)学生から社会人へのアイデンティティの変化へのサポート

 3)コミュニケーションを通した支援技術について

 はどうかと考え、今回頂いた時間の中で、それらの要素を取り入れた講座内容にしました。


 そのプロセスにおいても、

 訓練において、できない自分と向き合うことが多くなり、感情がネガティブなると視野が狭窄し、内的会話がうるさくなるため、リフレッシュも兼ねて長期的な視野へと意識を拡大し、自分とのコミュニケーションを見直してもらうこと

 おそらく訓練で疲れている方が多いということや、まだ若年層でもあることからできるだけ楽しく、テンポ良く、多少の驚きを持たせながら、体を動かせる要素を取り入れていくこと

 を心がけました。

 実習でも、たくさん語らい、訓練の中でお互いに大事にしていることを理解しあえるコミュニケーションを実践する感覚を掴み、いずれ現場に出たときに、相手を思いやるようなコミュニケーションができるような方向性でデザインしていきます。

 とくに3)については、フィードバック理論を参考にしました。

 フィードバック理論では、次の3つの支援をチームで分担することが重要であることが謳われています。本来はリーダーが部署運営に参考になる内容ですが、メンバーが知っておくことも大変価値のあることです。
 (参考:職場学習論 中原 淳 著  東京大学出版会)
 (概要となるHPはこちら

1)業務支援

 業務や知識など「知らない」こと、技術など「まだできない」ことを教えること

2)内省支援

その人の中の気づきを増やす関わり。コーチングなどの質問で注意や認識に枠組みを変えたり、その人が気づいていない点を誠実に伝えていくことです。

3)精神的支援

 その人がや悩んだり、立ち止まったときに、傾聴したり、心のケアをすることやチームや組織のモチベーションや雰囲気を高めるために立ち振る舞うこと。

 とくに、同期のメンバーでは、お互いで2)内省支援や3)精神的な支援ができると、組織の上意下達による縦方向の関わり方が重要という前提に、お互いを理解し、成長を支援するような横方向の関係性も重要という前提が追加される可能性が生まれます。

 若い受講者ですから、まだ、このような理論には興味がないでしょうが、結果として、普段の日常会話に付け加えて、相互の支援ができてくれればという想いです。

時代の変化を取り入れた訓練へ

 冒頭のタクシーの運転手の方から聞いたお話ですと10年ぐらい前は、隊長の指示に即反応できるようなスパルタ的なものがあり、意味もわからない訓練も多かったそうです。

 そうしたことは、その世代に若い隊員や隊長も感じていたのか、時代とともに、初任教育も厳しさの中に柔軟な感性を取り入れるようになってきたようです。

 

松山城から見える松山市

 海外に目を向けると2011年には、アメリカの軍隊でもポジティブ心理学を一部に取り入れました。
  (参考HP

 自らの命を危険に晒す仕事であることから、メンタル面でのタフネスやケアを求められてきます。

 厳しさとハラスメントの境界に線を引きづらい昨今では、訓練や指導方法についても伝統を踏まえながらも新しい流れを生み出すことが求められてきているようです。

 

 NLPフィールドの研修では、仕事を通してお互いが成長し、人間性を高めあう研修を旨としているので、今回、このような機会を頂けたことはとても感謝しています。
(NLPフィールドの法人研修はこちらからご覧ください。)

 受講された皆さまにおいては、9月末にご自身の望む状態となって、10月から各部署に配属していけるよう今回の学びをお役立ていたらければ幸いです。

 【付録】(参考となる動画)
 どんなこんななことも日常の小さなことから始めることの大切さを話してくれています。
 マクレイブン海軍大将 “Make your Bed”
(2014年テキサス大学卒業式祝辞の抜粋)

この記事を書いた人

nlpfield

株式会社NLPフィールドです。
人生におけるNext Stageにむけて、NLPを中心としたコーチング・アプローチで支援をしています。ご自身の人生を心豊かに生きることを基点として、周囲の人々に共感し、社会に貢献できるよう研修やコーチングを提供しています。
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